モリタ地上式消火栓の掘削オーバーホール

漏水が止まらず強く締めたところ、水が止まらないままハンドルが空回りをするようになり止水不能となった故障例です。

この消火栓は、地上からの修理に対応していないため、掘削してオーバーホールを行いました。

型式:モリタ式消火栓 C6001

モリタ地上式消火栓の掘削オーバーホールの流れ

森田消火栓の着工前

現在の消火栓はメンテナンスがしやすいように地上から殆どの部品を取り外せるような構造となっていますが、旧式の消火栓では、まだそのような構造にはなっておらず、故障状況によっては掘削して修理する必要があります。

内部から部品の破片を回収

本体分解後、直管内部から破損した部品の破片を回収しました。
空回りの原因は、このクラッチと呼ばれる部品の破損が原因でした。

デンスバーと完成クラッチ

既に廃番機種のため、クラッチは現物を参考に棒材から切削加工で作製しました。

掘削工事の状況

地下部品撤去のため、掘削を行います。掘削後の状態です。

地下にガイドが入っているため掘削後でないと引き抜きできない構造です。

消火栓の地下部品

掘削して取り外した消火栓の地下部品一式です。中央の副弁カバーは腐食が激しいので交換します。

清掃後の消火栓地下部品

清掃後の消火栓地下部品です。ケレンや清掃は修理の基本となる作業です。作業の過程で細部まで部品を観察することになり、欠けやクラックなどの見落としやすい僅かな異常に気づくことができるなど、部品点検の側面も併せ持つ重要な工程です。

防錆塗装後の地下部品

防錆塗装後の地下部品です。内部部品も錆の再発がないように入念に塗装します。

弁箱

地下に残った弁箱の現状です。副弁で止水していますが、漏水が止まりません。

清掃後の弁箱

清掃後の弁箱です。完全に止水できないので、ポンプで吸い上げながら清掃作業しました。

塗装後の弁箱

弁箱を塗装しました。埋設部もしっかり防錆塗装します。

自動排水弁の現状

自動排水弁は非常に故障率の高い部品です。

掘削工事となった場合は、故障の有無を問わず自動排水弁も同時に交換します。自動排水装置が特殊仕様の場合は分解清掃して修理をおこないます。

自動排水弁を撤去

自動排水弁を撤去した状態です。同時にケレン作業を行ったので、黒で防錆塗装されています。

排水テスト

通水して排水テストを行っています。排水状況も良好です。加圧して止水、減圧して排水がきちんと行われているかを確認しました。

ケレン後の本体

ケレン後の本体です。凍結や事故を除けば、まず故障することがない部品です。

本体フランジ防錆塗装

フランジや底面など、隠れてしまう部分もしっかり防錆塗装します。

上塗り塗装後の本体

上塗りが完了しました。塗装には、ウレタン塗料を使用していますので10年は耐用します。

腐食した弁体

分解直後の弁体の様子です。弁体周辺が著しく腐食していますが、古い消火栓ではよく見られる状況です。このままでは、もちろん止水に支障をきたしますので、オーバーホールします。

欠損した弁体

激しい腐食によって、弁体のネジが欠損していることが判明しました。

ねじが一体となった部品のため、本来であればこの部品ごと交換が必要となります。修理ではこのような部分欠損が多く発生するため、都度部品を交換すると費用がかさんでしまいます。様々な補修技術を活用して、補修で済む部品は補修して費用を最小限に抑えるように努めています。

圧力試験の様子

圧力試験の様子です。試験器で止水圧力の測定や、自動排水の状況、漏れのチェックなど異常がないかを再度確認しています。

砂利の埋設状況

自動排水弁の排水スペース確保のため、砂利を敷設します。粘土質のため詰まりが発生しやすいので多めに埋設しています。

埋戻し転圧の状況

埋め戻し中の転圧作業風景です。付帯作業にかぎり、軽土木までおこないます。

埋戻し完了

埋戻し完了

抱き込み埋設

修繕前に撤去した枠を再設置しました。

モルタル補修

モルタルで補修しました。

修理完了

長い工程を経てオーバーホール完了です。

追加加工が多かったため、予定をオーバーして、完成は夜分となりました。

工事写真は暗く写っていますが、現物の発色は大変綺麗です。